健康コラム

手のしびれの話

私たちの「手」は日常生活を送るうえで欠かせない体の部分です。手の繊細なセンサーで感じ取った信号は、「神経」を伝わって脳に伝わり、その形や大きさ、重さなどを感じることができます。また、脳からの信号が「神経」を伝わって手の筋肉へ達することで、思ったとおりに手を動かすことができます。脳と手をつなぐ「神経」は大切な働きをしています。

今回は神経が原因で手がしびれたり使いづらくなったりする病気のお話です。

整形外科が診療する分野で、手の症状の原因となる部位は沢山ありますが、主な部位は脳から近い順に、首、肘、手首です。

順番に主だった疾患について説明したいと思います。

首が原因

頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)

首で神経の具合が悪くなる疾患では「頚椎症性脊髄症」があります。首の骨が年齢による変化で変形することにより脊髄(神経の太い束)の通り道が狭くなります。変形した骨や靱じんた帯い が脊髄を圧迫して許容範囲を超えると症状が出てきます。

主な症状

手の全体的なしびれや感覚の鈍さ、細かい作業がしづらいことから始まり、進行すると手の筋肉が全体的に痩せて使いにくくなり、歩行障害が出ることもあります。

診断と治療

診断は、診察のほかにレントゲンやMRIを行います。治療は症状や困り具合に応じて相談して決めます。

肘が原因

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

肘で神経の具合が悪くなる疾患としては「肘部管症候群」があります。肘の内側にある神経(尺骨神経)が、肘の関節の変形や筋肉により圧迫されて起こる疾患です。

主な症状

手の小指から薬指にかけてのしびれや感覚の鈍さ(図1の青い部分、特に指先に症状が強い)から始まり、進行すると手の細かい筋肉がやせて細かい作業がしづらくなります。

図1

診断と治療

診断は診察やレントゲン、神経伝導速度検査(神経が伝わる速さを測る検査/写真1)などを行います。

肘部管症候群は自然に治ることはほとんどありません。そのため、患者さんの困り具合と相談して手術を行うことが多いです。手術は神経の圧迫を解除するため、肘の内側を切開して神経をずらす手術を行います。

写真1 神経伝導速度検査

手首が原因

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手首で神経の具合が悪くなる疾患としては「手根管症候群」があります。手首の中には手根管というトンネルがあり、指を曲げる腱と神経が通っています。このトンネルの中が腫れることにより神経(正中神経)が圧迫されて症状が出ます。

主な症状

症状は親指から薬指のしびれや痛み(図1の赤い部分、特に指先に症状が強い)で、明け方に症状が強い方もいます。原因は不明なことが多いですが、ホルモンバランスの変化で妊娠中や更年期に発症することもあります。

診断と治療

診断は診察、レントゲン、神経伝導速度検査などを行います。症状の軽いものは、手首を固定する装具をつけて、安静にすることによって自然治癒することも多いです。症状の重い方は自然治癒しないため、初めから手術をおすすめすることもあります。手術は手根管開放術といって、神経の入っているトンネルの屋根の靱帯を切開することにより神経の圧迫を取ります。

手のしびれを起こす疾患は、進行すると日常生活にかなりの影響を及ぼします。
手のしびれや痛みがあったら長期間我慢せず、早めに病院に受診することをお勧めします。