健康コラム

尿路結石の予防について

暑くなったこの時期に増える病気のひとつが尿路結石です。今回は尿路結石の予防を中心に書きたいと思います。

尿路結石とその症状

尿の通り道である腎じん杯ぱい、腎じん盂う 、尿管、膀胱、尿道をまとめて尿路といいます。尿路結石はこの尿路にできる結石です(図1)。30〜60代の男性に多い疾患で、生涯罹患率は男性15.1%、女性6.8%であり、男性では7人に1人が一生に一度は尿路結石にかかることになります。主な症状は痛みと血尿です。その痛みは「痛みの王様」や「人生で味わう三大激痛」と言われるほどの強烈なものです。

図1 尿路と尿路結石

尿路結石が起きる原因

最近行われた全国疫学調査では、尿路結石の90%以上がカルシウム結石でした(図2)。カルシウム結石にはシュウ酸カルシウム結石やリン酸カルシウム結石などがありますが、そのほとんどはシュウ酸カルシウム結石です。このシュウ酸ですが、カルシウムと結合しやすい性質があります。シュウ酸は腸のなかでカルシウムと結びつくと塊となり、便と一緒に排泄されます。ところがシュウ酸の摂取量が多いと余った分は腸で吸収されてしまい尿のなかに出てきます。尿のなかでシュウ酸がカルシウムと結合すると結石を形成します(図3)。以前は多くの結石にカルシウムが関係していることから、カルシウムのとりすぎが結石の原因とされてきました。しかしその後の研究によりカルシウムをとることによって腸からのシュウ酸の吸収を減らすことが明らかとなり、現在では一定量のカルシウムをとることが必要だとされています。

図2 尿路結石の成分
図3 シュウ酸とカルシウム

予防はできるの?

尿路結石は一度できると再発しやすい特徴があり、5年以内に約半数の人が再発するといわれています。それゆえ日頃からの予防が非常に重要です。予防として大切なのは積極的な水分摂取と食事のなかでシュウ酸を控えることです。

水分をたくさんとると尿が薄まって結石ができにくくなります。1日2リットルの尿を出すように水分を摂取することが必要であり、そのためには食事以外に2リットル以上の飲水が推奨されています。

シュウ酸は尿路結石のもとになる最も重要な成分で、ホウレンソウやレタスなどの野菜、バナナ、ナッツ類、チョコレート、飲み物ではココア、コーヒー、紅茶、緑茶などに多く含まれます(表1)。しかし、こうした食品にはほかの栄養素も多く含まれており、全部避けるのは現実的ではありません。

表1 シュウ酸を多く含む食品

ゆでることと食べ合わせが重要と考えられており、ホウレンソウでは、3分間ゆでて水分をしぼり、おひたしにすることで、シュウ酸の量を約半分に減らすことができます。また食べ合わせについては、シュウ酸を多く含む食品を食べる際は、カルシウムを多く含む食品を一緒にとるとよいとされています。有効な食べ合わせとして、ホウレンソウのおひたしにかつお節をかける、コーヒーや紅茶を飲む際はミルクを加えるなどがあります。

尿路結石に一度でもかかったことのある方はぜひ予防を心がけてください。