健康コラム

腎臓病予防のための提言

日本では8人に1人は慢性腎臓病にあたるといわれています。腎臓の機能はある程度まで悪くなってしまうと、正常に戻ることは難しくなります。かなり低下しないと自覚症状もありません。そのため腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発する取り組みとして、国際腎臓学会、米国腎臓財団が2006年より毎年3月の第2木曜日を世界腎臓デーと定め、啓蒙のイベントが世界各地で行われています。そこで提案された腎臓病の予防・進展抑制のための8つの提言を紹介します。

1.適切な運動をし、健康を維持する

適切な体重を維持することが、血圧を下げ、慢性腎臓病のリスクを減らすのに役立ちます。

2.健康的な食事をする

適切な体重を維持し、血圧を下げることが、糖尿病や心臓病などの慢性腎臓病に関連した病気を予防することに役立ちます。

塩分摂取を1日あたり5~6グラムに減らすことが勧められています。

塩分摂取を減らすためには、なるべく加工食品の使用や外食の機会を減らし、自分で新鮮な材料で食事を用意し、余分な塩分は加えないようにすることです。

3.血糖を測り、コントロールする

糖尿病の約半数の人は検査をしない限り、自分が糖尿病だと気づきません。特に中年以降の方は必ず健診などで検査を受けるように勧められています。

糖尿病の約半数の方は腎臓病を合併します。しかし糖尿病がコントロールできていれば、腎臓病の進行を抑えることができます。血液検査、尿検査で定期的に腎臓の機能を確認することも勧められています。

4.血圧を測り、コントロールする

高血圧の約半数の人は血圧を測らない限り、自分が高血圧だと気づきません。特に中年以降の方は必ず健診などで血圧を測るように勧められています。

血圧は腎臓にダメージを与えます。糖尿病、高コレステロール血症、心血管疾患のような他の要因が加わると特にダメージを与えます。適切な血圧のコントロールにより、リスクを減らすことができます。

健康な成人の血圧は120/80mmHgが目安です。違う日に2日間血圧を測り、どちらも上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、かつ/または下の血圧(拡張期血圧)が90以上なら高血圧です。

もし血圧が持続的に正常範囲を超えているようでしたら(特に若年者は)、生活習慣を見直し、医療機関を受診し、薬物療法などを受けるように勧められています。

5.適切な水分摂取を行う

運動や気候、健康状態、妊娠や母乳育児などで適切な水分摂取量は変わります。

健康な方は 1日あたり約2リットルとされています。

ただし、心臓病、腎臓病、肝臓病で水分制限が必要な方もいます。かかりつけ医で適切な水分摂取量の相談が必要になります。

6.喫煙をしない

喫煙は腎臓への血流を悪くします。腎臓への血液が少なくなると腎臓の正常の機能が低下します。また喫煙は腎臓癌の発症リスクを約50%上昇させるとのことです。

7.抗炎症薬・鎮痛薬の使用に注意

非ステロイド系抗炎症薬・鎮痛薬(例|イブプロフェン)の常用は腎臓に害を与えやすいです。

腎臓病や腎機能の低下した方は少量でも害を及ぼす可能性があります。医師、薬剤師に確認が必要です。

8.次のうち一つでも当てはまれば、自分の腎臓の機能を確認する

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 肥満
  • 身内で腎臓病のいる方

特に注意が必要です。

腎臓病は生活習慣病と密接に関わり、若年期からの生活習慣にも大いに影響されます。そのため若年期からこのような発症・進展予防に努めることが大事です。