健康コラム
糖尿病 太っていても、太ってなくても、要注意
生活習慣病である糖尿病は、太っている人がなる病気と思われやすいですが、実際は太っていない糖尿病患者さんも多くいます
日本人はインスリン分泌能力が低い
糖尿病は、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンという血糖値を下げるホルモンの働きが不十分になると発症してきます。インスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性の原因の一つとして肥満が挙げられます。でも、それほど太っていなくても糖尿病を発症することはあります。
実は、日本人のインスリンを分泌する能力は欧米人に比べて低く、そのためごく軽度の肥満でも、インスリン抵抗性によるインスリン必要量の増加に対応できず、糖尿病を発症する人が多いのです。
肥満の程度:BMI
肥満の程度を測るのに、BMI(Body Mass Index)という指標があります。BMIが18.5kg/㎡以上25 kg/㎡未満は普通体重、BMI25 kg/㎡以上が肥満とされます。平成28年の「国民健康・栄養調査」の結果では、全国の平均BMIは男性23.8、女性22.6 kg/㎡でした。皆さんも、ご自身のBMI値を確認してみてください。
ちなみに糖尿病患者の平均BMIは、報告にもよりますが24 kg/㎡程度。肥満の糖尿病患者も多い一方、半分以上の方は普通体重です。
糖尿病予防には定期的な運動が大切
糖尿病予防には、食生活の注意が重要ですが、継続的な運動も大切です。肥満の人は糖尿病を発症しやすいのですが、肥満がなくても、筋肉が少ない・体脂肪が多いと糖尿病は発症しやすくなります。有酸素運動により筋肉への血流が増えると、血液中の糖がどんどん細胞の中に取り込まれ、血糖値が低下します。また筋力トレーニングで筋肉が増えることで、インスリン抵抗性が改善して血糖が下がりやすくなります。
ウォーキング等の有酸素運動は、軽く息がはずむ程度の強度で、30分を週に5回など1週間に150分以上を目標に、体力に合わせて行いましょう。筋力トレーニングは、スクワット・腹筋・かかと上げ等の運動で、足や腰、背中の大きな筋肉を中心に、全身の筋肉を使い週2~3回を目安に行いましょう。糖尿病合併症やほかの病気がある方は、運動の程度につき主治医に相談してから開始してください。
運動が苦手な方や、忙しくて時間が取れない方は、日常生活の中でこまめに動くことを心がけましょう。座りがちな生活をしている人は、こまめな動きをしている人に比べ糖尿病の発症リスクがおよそ2倍に高まるとの報告もあります。
定期健診を受けましょう
糖尿病が疑われる人を含めると、日本人の5~6人に1人は糖尿病に罹患しています。糖尿病は、よほど悪くならなければ自覚症状が出ない病気で、自分では気付かないうちに高血糖による全身の血管ヘのダメージが進み、さまざまな合併症を引き起こします。
「太ってないから大丈夫」ではなく、まずは、定期健診・検査をしっかりと受けて、自分の血糖値を把握し、良好な状態に維持することが大切です。また定期的な運動を継続して、肥満の改善・予防と筋肉量を維持することを心がけましょう。