健康コラム

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)ってなに? なぜ治療が必要なの?

骨粗鬆症とは? 

骨粗鬆症は骨の量(骨量)が減って弱くなり、容易に骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症は高齢社会において重要な病気であり、日本では1千万人以上の方が罹患していると言われています。骨粗鬆症になると脊椎椎体圧迫骨折(背骨の骨折)や大腿骨近位部骨折(股関節の骨折)、橈骨[とうこつ]遠位端骨折(手首の骨折)、上腕骨近位部骨折(肩の骨折)、骨盤骨折などを生じます。

そして骨粗鬆症の治療を行われなければ、転倒など軽微な外力で骨折を生じ、動作がスムーズに行えなくなることで、また転倒し骨折を生じるといった、骨折の連鎖を引き起こすことになりかねません。要支援・要介護の原因の約38%が運動器障害と言われており、寝たきりの生活ではなく、健康に生活できる『健康寿命』を伸ばすためにも骨粗鬆症治療は重要だと考えられます。

ヒトの体では日々、古くなった骨を壊す作業と新しい骨を作る作業がバランスよく行われています。しかし、骨粗鬆症では加齢や生活習慣、持病などで『骨を壊す作業』が『骨を作る作業』を上回り骨密度が低下し、同時に骨の質が劣化し、骨折を来たしやすい骨となってしまいます。これが骨粗鬆症です。

どういう方が骨粗鬆症?

立った姿勢からの転倒・転落など軽微な外力で、先ほどあげた骨折をされた方は骨粗鬆症の治療が必要となります。また、背中が曲がってきた方や25歳のときより身長が4㎝以上低くなっていると骨粗鬆症になっている可能性がありますし、その他に女性、加齢、低体重、喫煙者、過度の飲酒、糖尿病、両親のどちらかに大腿骨を骨折された方がいる方、これまでに骨折をされた方などは注意が必要です。

骨粗鬆症の治療はどのように行うか?

治療は食事療法・運動療法・薬物療法があります。

食事療法は太りすぎ・やせすぎにならないように適正なカロリーを摂取し、栄養素をバランスよく摂取することが大事です。特にたんぱく質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンB群は骨の形成に役立つ要素として重要です。

運動療法は、有酸素荷重運動・ウォーキング・筋力訓練などにより骨密度を増加させ、また筋力訓練やバランス訓練により転倒発生率を減少させることで骨折の連鎖を防ぎます。

薬物療法では、骨を壊す作業と骨を作る作業のバランスをみる血液検査を行い、その結果に基づき、適切な治療方法を選択することができます。治療薬には飲み薬や注射薬があり、投与間隔や飲み方、作用も様々ですので、患者さんと一緒に相談しながら治療薬を決めます。

食事療法・運動療法に関してはご自身でも取り組むことができますので、ぜひ取り組んでみてください。

骨密度測定検査装置

骨粗鬆症は骨折を来たさないとなかなか症状に表れにくい病気で、治療を続けても効果を実感しにくい病気だと思われますが、私たちと一緒に治療を開始・継続し骨折の連鎖を防ぎ、断ち切りましょう。
当院では骨密度測定検査(骨の強さを示す指標)も行えます。
骨粗鬆症ではないかと不安な方、治療で悩まれている方はぜひ一度、万代病院へ相談にいらしてください。