健康コラム

動悸(どうき)がするんですが…

「初恋のときめき」

初恋のころ心臓がどきどきしたことはありませんか? これは好きな人の前で気持ちが興奮して、自律神経の作用で脈が速くなる現象です。人前に出たりして緊張すると脈が速くなることと同じで、病気ではありません。

同じように、運動をしても自律神経の作用で脈が速くなります。これらの脈の特徴は少しずつ脈が速くなり、少しずつゆっくり落ち着いてくることです。

昔に比べて動悸がする

前はなんともなかった動作でも、最近はやたらと脈が速くなってきたというケースがあります。

①運動能力の低下

最近は家にいる時間が長く、体を動かすことがなくなり、筋肉量も低下し、運動に向かない体になってしまうと、以前と同じ運動をしても脈が速くなりがちです。

②呼吸機能の低下

たばこや肺炎などにより肺が傷んでくると、動くのに必要な充分な酸素が肺から得られず、酸素不足となり脈が速くなります。高い山などの高地で息が苦しくて脈が速くなるのと同じメカニズムです。

③貧血

胃潰瘍や痔、生理出血などで貧血が進行すると、体中に酸素を運んでくれる赤血球が少なくなり、充分な酸素を体に分配できず、動いたときに脈が速くなりがちです。

④内分泌疾患

甲状腺機能亢進(こうしん)症などの内分泌疾患では、「心臓頑張りなさい」というホルモンが異常に多く出てしまうために脈が速くなります。

⑤心不全

心臓の機能が低下した場合には、運動をしたりすると、全身に運動に見合っただけの充分な血液を送れなくなり、酸素を運搬できなくなって、その結果脈が速くなります。

これら①から⑤の場合も初恋のときめきと同じように、少しずつ脈が増加し、少しずつ脈が減少するパターンとなります。この場合には、検査によってどれが原因か調べて、必要であれば原因に対して適切な治療が行われます。

急に動悸が出現する

一方、いわゆる「不整脈」による動悸の特徴は、突然始まり、突然終わるパターンとなります。

①期外収縮(きがいしゅうしゅく)

普通の脈の中に突然一発「ドキン」とする脈が発生するパターンがよくあります。「期外収縮」といいます。誰にでも起こりうる不整脈で、治療の対象にはあまりなりません。むしろ、「治療しない方がよい」というケースもあります。

②頻拍(ひんぱく)症

突然規則正しい頻脈が発症し、しばらくすると突然普段の脈に戻る発作のようなパターンの場合は、「頻拍症」という不整脈の病気である可能性が高いです。発作時の心電図を記録するなどして不整脈の機序を調べて、適切な治療を行います。

③心房細動

不規則ででたらめなリズムの脈が持続する場合は「心房細動」という不整脈である可能性が高いです。あの長嶋監督がなった病気です。60歳以上の5%、80歳以上の10%の方が「心房細動」になっていると考えられています。

決して珍しい病気ではなく、かなり多くの高齢の方が発症していると考えられます。一種の「年寄病」です。同じ年齢の人に比べて3~7倍の確率で脳梗塞を発症します。脳梗塞を発症すると20%の方が死亡し、50%の方が、麻痺などにより介護が必要になります。予防が大切ですので、きちんと受診して治療を受けてください。

心房細動がずっと出たままの方もおられます。体が不整脈に慣れてしまって、自分では異常に気付かないケースもあります。一度ご自分の脈をしらべてみてください。

また、最近はカテーテルによる治療で「根治」が可能な場合もありますので外来でご相談ください。

この記事を書きました
田村 真たむらまこと
新潟万代病院内科
循環器
田村 真
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