健康コラム
CTナビゲーションによる人工股関節全置換術について
人工股関節全置換術は傷んだ股関節を金属に入れ替える手術です。当院(新潟万代病院)でも年間190例以上行われております。
その人工股関節全置換術について紹介します。
どういう人が手術を受けるの?
股関節の痛みが強く、日常生活や仕事に支障のある患者さんが手術を受けます。股関節の治療には薬や運動療法などの保存的治療と手術治療があります。股関節の変形が進むと、保存的治療では痛みをとることが出来なくなり、手術療法が選択されます。
人工股関節全置換術は変形が特に進んでおり、軟骨の大きくすり減ってしまっている方や、骨折や壊死によって骨がつぶれてしまっている方が受けることとなります。
どのような効果があるの?
人工関節になることで自分の体ではなく金属となるため、痛みが軽減します。
また、それにより日常の生活動作が改善し、自然な歩行にもどることができます。
どのような合併症があるの?
可能性は高くはないですが(多くて1% )、以下のような合併症が起こる可能性があります。
- 出血
- 感染(人工関節は自分の体ではないため、細菌に対抗する細胞が到達しづらい)
- 神経損傷(足の動きが悪くなる、傷の周囲がびりびりするなど)
- 脱臼(金属に置き換わっているため動かし過ぎても痛くなく、脱臼してしまう)
- 深部静脈血栓症(足の血管で血の塊が出来る。それが肺に飛ぶと呼吸困難となる)
- 脂肪塞栓(骨の中は脂肪分に富んでおり、それが血流にのってさまざまな場所でつまる。意識障害や呼吸困難をもたらす)
- ゆるみ(金属と骨との結合がゆるむ。通常時間がたってから生じる)
痛みが取れることのメリットとリスクとのバランスを考えて手術を受けることが重要です。
どのくらいの入院が必要?
年齢やもともとの歩行能力、リハビリテーシ∃ンの進み具合などさまざまな要素が加わりますが、2週間前後で退院する方が多いです。
手術後の注意点は?
人工関節の良い点は痛みが取れるという点ですが、痛みが無いと異常が起きても気付きづらくなります。
人工股関節の寿命はだいたい20年から30年といわれており、上手に人工関節と付き合っていくために、定期検診を少なくとも1年に1回は受診する必要があります。
痛みや歩行に異常が出るまで医療機関を受診せずに放置していたことで、手の施しようがない状態になった患者さんが散見されます。必ず医療機関での経過観察を受けるようにしてください。
CTナビゲーションとは?
前述した合併症の中で「脱臼」がありますが、人工関節の設置不良から由来しているものが多くを占めます。
人工関節の設置 は今まではマニュアル操作でやられていましたが、当院ではCTナビゲーションシステムを早くから導入しました。
具体的には手術前検査でCTを撮影しその画像から専用の機械に取り込むことで手術の計画を立て、その計画通りに人工関節を設置できるように手術中にサポートしてもらうことで理想的な位置に設置が可能となりました。つまり、より正確で安全な手術を可能とする機械なのです。